目がかすむ

目のかすみについて

目がかすむのは、疲労や目の酷使などによって起こりやすい症状ですが、深刻な眼科疾患の初期症状として生じているケースもあります。また、くも膜下出血など放置すると命に関わる疾患の症状として現れることもあります。休息や十分な睡眠をとっても目のかすみが改善しない場合はできるだけ早く眼科を受診してください。また、目のかすみとともに強い目の痛み・吐き気・めまい・激しい頭痛を起こしている場合には、すぐに受診してください。

目のかすむ症状について

目がかすむという表現は、実際にお話を伺ってみるとさまざまな症状に対して使われています。そのため、具体的な症状の特徴や同時に起こっている他の症状をうかがって、眼科検査の結果を踏まえて原因を確かめることが重要です。

目のかすみと表現される症状には、主に下記のものがあります

  • 視界がぼやける
  • 全体に霧がかかっているように感じる
  • 色の差がわかりにくい
  • 色が以前より淡く見える
  • すりガラスを通して見ているように感じる
  • 輪郭がはっきりしない
  • ピントがしっかり合わない
  • 視力が低下した
  • ものが二重、三重にだぶって見える
  • 視界に見えにくい部分がある、視野か欠けている
  • 見える範囲が狭くなったように感じる など

緊急受診が必要な目のかすみ

目のかすみに加え、ものが二重に見える、目が痛い、激しい頭痛や吐き気、めまいがある場合には、数日で失明に至る可能性がある急性緑内障や、命に関わるくも膜下出血などが疑われますので、すぐに受診してください。

目のかすみがある場合に行われる眼科検査

視力検査、細隙灯顕微鏡検査、眼圧検査など、基本的な眼科検査を行います。症状により、感染症の有無を確かめて原因を特定します。眼圧に大きく関与する房水の状態を調べるための隅角検査、視神経や網膜の状態を調べる眼底検査、視野の欠けがないかを確かめる視野検査、涙の量や質を調べる検査などから必要に応じた検査を行って原因疾患を確定します。

目のかすみを起こす原因

眼精疲労・VDT症候群・ドライアイ

室内の乾燥や目の酷使によって生じる眼科疾患です。VDT症候群は、パソコンやスマートフォンなどのモニター画面を長く見ることで発症し、IT眼症やスマホ老眼と呼ばれることもあります。モニター画面を見ている間はまばたきが減少して目が乾き、ピントを合わせる筋肉が働き続けるため目に疲労がたまりやすく、最近発症が急激に増加しています。眼精疲労・VDT症候群・ドライアイは合併することが多く、お互いが悪化要因になります。感染症の発症リスクも高くなってしまうため、眼科を受診してしっかり治すことをおすすめしています。適切な点眼薬の処方に加え、デスクや椅子の高さなど環境面を見直す際のアドバイスも行っています。また、こまめな休憩、十分な睡眠時間の確保、部屋の加湿なども重要です。なお、ドライアイが点眼薬などでは改善しない場合には、涙の排出口である涙点プラグ(キープティア)で閉塞する治療を行うこともあります。

メガネやコンタクトレンズ

視力は変化することがありますので、気付かない間にメガネやコンタクトレンズの度が合わなくなっていることがあります。適切ではないメガネやコンタクトレンズを使っていると目に疲れがたまりやすく、目のかすみを起こしやすくなります。また老眼は40歳前後ではじまることが多いため、気付くのが遅れて眼精疲労などにつながってしまうケースが多くなっています。メガネやコンタクトレンズを使っている場合には、眼科を定期的に受診して検査を受けることが目の健康を保つために役立ちます。

コンタクトレンズのセルフケア

コンタクトレンズは、ちょっとしたセルフケアのミスや不足が大きな負担につながってしまいます。目のかすみのような一時的な症状だけでなく、角膜に深刻なダメージが及ぶなど重大な眼科疾患の原因になることもあります。かなり丁寧に行っている方でも気付かずに間違えている場合が多いので、違和感などがあったら早めに眼科を受診してください。

加齢

加齢で筋肉が衰えるとピントを合わせる毛様体筋の緊張力が低下し、タンパク質である水晶体も弾力性が失われてピントを合わせにくくなって老眼が進み、目のかすみなどの症状を起こしやすくなります。適切な老眼鏡を使用しないで手元の作業を続けていると、目に負担が蓄積して眼精疲労を起こしやすくなります。老眼は40歳前後ではじまることが多いため、気付かずに目に疲れがたまりやすくなっていることがよくあります。また、加齢によってドライアイも発症しやすくなります。目のかすみを感じることが増えてきたら、眼科を受診してください。

白内障

レンズの働きを持った透明な水晶体が濁る疾患です。主に加齢によって水晶体のタンパク質が変性して発症しますが眼科疾患・アトピー性皮膚炎・糖尿病・外傷などによって発症することもあります。加齢による白内障は生理的な現象なため、自覚症状が現れる時期に違いはありますが、9割以上の方がなる可能性のある疾患です。現在は濁った水晶体を除去して人工の眼内レンズを入れる白内障手術を日帰りで受けられるようになっていて、日本では年間150万人が受けているとされています。当院では白内障の手術は行っていないため、連携している病院に紹介させていただいております。

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緑内障

視神経が障害を受けて視野が欠けていく進行性の病気で、失われた視野を回復することはできず、進行を止める・ゆるやかにする治療しかできないため、早期発見と適切な治療の持続が重要です。緑内障の主な症状は視野の欠けですが、目がかすむといった症状で受診されて緑内障が発見されることも少なくありません。ほとんどのケースではゆっくり進行しますが、急性緑内障発作を起こした場合には数日中に失明してしまう可能性がありますのですぐに眼科を受診してください。急性緑内障発作では、目のかすみ・ものが二重に見える・吐き気・激しい頭痛・めまいなどの症状を起こします。こうした症状は命に関わるくも膜下出血でも起こることがあり、脳神経外科をまず受診されることが多いと思いますので、その際にも眼圧検査を必ず受けるようにしてください。
また、急性ではない慢性の緑内障でも、放置していると大幅な視野の欠けや失明に至ることがありますので、適切な治療をしっかり続けることが重要です。基本的に状態に合わせた点眼薬による治療を行い、進行している場合には眼圧を上げて緑内障を悪化させる房水の循環を改善するためのレーザー治療などを行うこともあります。

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糖尿病網膜症

糖尿病の高血糖が続くと血管に大きな負担がかかってさまざまな合併症を起こします。糖尿病網膜症は代表的な合併症のひとつです。網膜には毛細血管が密に張り巡らされているため高血糖だと血管にダメージを受けやすく、悪化してしまうと失明に至ることもあります。自覚症状がないまま進行し、網膜剥離などを起こしてはじめて気付く場合もあります。網膜剥離を起こしてしまった場合には、早急にレーザーによる治療を受けてそれ以上の悪化を防ぐ必要があります。糖尿病と診断されたら定期的に眼科を受診して検査を受け、糖尿病の適切な治療を続けて血糖値を正常範囲に保つことが重要です。

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ぶどう膜炎

眼球を覆っている虹彩、毛様体、脈絡膜を含む組織がぶどう膜です。細菌・ウイルス・真菌などによる感染症や、免疫異常などによって起こることもあります。主な症状は、充血や目の痛みがあり、目のかすみや視力低下、飛蚊症などがあります。また緑内障や網膜剥離を合併した場合には、深刻な視力障害につながってしまうこともあります。再発を繰り返すこともよくありますので、治ってからも定期的に眼科を受診して検査を受けるようにすると再発による悪化を防げます。

くも膜下出血

眼科疾患以外で目のかすみという症状を起こす深刻な疾患として、くも膜下出血があります。目のかすみ・ものが二重に見える・激しい頭痛・吐き気・めまいなどがあった場合には、一刻も早く医療機関を受診してください。くも膜下出血は命に関わるため、こうした症状がある場合には脳神経外科で診察を受けます。ただし、こうした症状は急性緑内障発作でも起こります。急性緑内障発作は数日で失明する可能性のある状態ですから、脳神経外科を受診した場合も眼圧検査も受けるようにしてください。

目のかすみの予防

原因疾患がない場合、目のかすみは目の酷使によって起こっているケースが大半を占めます。こまめに休憩して目を閉じる、ホットタオルで目の周囲を温める、十分な睡眠をとって目を休ませましょう。
こうしたことを行っても改善しない場合や、目のかすみ以外の症状がある場合には、眼科を受診して検査を受け、視力などの問題や原因疾患の有無を確かめる必要があります。放置してしまうと悪化して治療が必要になることが多く、深刻な視機能低下を起こして治療しても十分に回復できないことがありますので、早めにご来院ください。
日常生活では、乾燥や直射日光などを防ぐことを心がけましょう。乾燥する室内では加湿器を使い、日射しが強い戸外ではサングラスや日傘で直射日光から目を守りましょう。

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